「布が好きでたまらない!普段使いに彩りを贈ります」
布小物制作 増田 珠美さん(奄美市名瀬)
「スキを仕事にしたい」誰もが考えたことがあるでしょう。
奄美にはたくさんのハンドメイド作家さんがいますが、ハンドメイド作品で事務所やお店を構えるまでになるには相当に大変なようです。
今回は、平成30年に「第2回あまみハンドメイド大賞」の大賞・オーディエンス賞のW受賞をし、現在、ネット販売だけでなく、実店舗を構えていらっしゃる「FUETA」の増田 珠美(ますだ たまみ)さんにお話を伺いました。
(柔らかい雰囲気の店内。増田さん手作りの小物たちがキレイにディスプレイされています)
――増田さん、よろしくお願いします! ハンドメイド作家になった経緯について、教えていただけますか?
(増田)
私は、徳之島に12年いて、平成14年から奄美大島本島に移住しました。
子供を出産し、家で過ごしている時に、自分のマタニティ服をリメイクして...。
そのことがきっかけで「布が好き、ハンドメイドが好き」と気付きました。
気付いたとたん「1日1回布にさわりたい」と思う気持ちが強くなりすぎちゃって…(笑)
「どうしてもハンドメイドをしたい!」と思い、子供を育てながら、旦那の仕事を手伝いながら、隙間時間を利用して製作をスタートしました。
(制作の合間を縫って取材に対応していただきました)
――自分の商品を他のお店に売ってもらえるって凄いと思います。初めての委託先はどう開拓したんですか??
(増田)
平成16年に2人目が生まれて、子供のものや自分用のバッグ・小物を作ってネット販売していました。
自分で作ったバッグをもって、材料の買い出しのために雑貨屋さんに通っていたところ、「ウチで販売してみないか」と声をかけてもらいました。
このお話をもらってから、しっかりした製品を作らなくてはと思ってこれまで使っていた家庭用ミシンを工業用ミシンに買い換えました。しかも借金してまでミシン買ったんですよ。
――先行投資でミシンを買ったわけですね。他に大変だったことはありますか?
(増田)
声をかけてもらって、小物を納品先に並べなきゃいけないとなったときに大変だったのは製作時間の確保。
日中は主人の仕事を手伝っていたし、家事をしないといけないし、子供の寝かし付けまで終わらせて、深夜12時から作業していました。でも上の子供を学校に送り出さないといけないから朝早くて大変でした。
若かったからできたんですね。それでも1日2,3時間しか作れなかったので間に合うか不安でした。
――商品へのこだわりはありますか?
(増田)
商品の種類としては、置物とかオブジェじゃなくて日常で使えるものを作っています。
質としては、ハンドメイドだけれども、それに甘えずに既製品のようなクオリティを目指しています。例えばファスナー横の、布地の見え幅も何ミリと決めていたりとか。
――それは、ちょっとでもズレてしまうとやり直しですか?
(増田)
いいえ、やり直しもできずに、お蔵入りです。
大島紬は繊細なので糸をほどくことも出来ないんです。
大島紬は私のところに来る前にものすごく複雑な工程を経ています。そんな大島紬を台無しにしないようにちゃんとした商品を作りたいと思っているので少しでもズレているものは販売しません。
だからお蔵入りになっているものがめちゃくちゃたくさんあって、もったいないんですが勉強代と思うようにしています。
――人を増やすことは考えていないんですか?
(増田)
これまで、何人かに手伝ってもらったのですが、布の扱いや縫い方、仕上げ方全てにその人の個性が出ます。
FUETAのお客さんに出せるレベルまでは中々難しくて今は1人だけ来てもらっています。会社としてちゃんと体力をつけて、もっとちゃんとお給料を払えるようになりたいなあと思っています。
――お客さんへのメッセージをお願いします。
(増田)
「かわいい。買ってよかった」と感じてもらえる、普段の生活を彩るような商品を作っていきます。お店にも是非遊びに来てください。
――ハンドメイド作家さんにもメッセージをいただけますか?
(増田)
ハンドメイドで食べていくのは本当に厳しいです。おすすめはしませんが、どうしてもというなら経費の計算をしっかりしてください。
娘さんもお裁縫が好きでよくお手伝いをしてくれるそうです。でも職業としてハンドメイド作家を選ぼうとする娘さんを、増田さんがたしなめることもあるとか。
商品へのこだわりが凄い増田さんですが普段の生活はてげてげ(方言で「適当」の意)で「仕事」となるとスイッチが入って厳しいチェックが入るし、色んな手続きや経費の計算などもすすむのだそう。
「趣味」を「仕事」にしていくには厳しさや覚悟が必要なのだと感じました。
増田さん、これからもハンドメイド作家の星でありつづけてください!ありがっさまりょうた~!